ユニバーサルマスキングとは?自宅療養におけるトイレ掃除について~新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

2020年~2021年に大流行している新型コロナウイルス。

この新型コロナウイルスの流行は私たち医療者にも今までの取り組みを考え直す必要性を教えてくれました。

麻生大臣は「いつまでやるんですかね、マスク」との発言をされたようですが、医療者界隈ではマスクをすることが当たり前の世の中になるんじゃないか、と考えている人も一定数います。

新型コロナウイルスは様々な報告から無症状の感染者にも感染力があること、発症前2日から感染力があるということがわかってきています。

今までの「症状がある人だけへのアプローチ」では感染を防ぎきれないことがわかっています。

しかも、新型コロナウイルスは発症して治療後も再入院や、退院後の死亡率も高く、3人に1人が5カ月以内に再入院し、うち8人に1人が死亡しているというデータも出てきています。

そんななかで新たな標準として、ユニバーサルマスキングという考え方が生まれました。

ユニバーサルマスキングとは?どういう意味?咳エチケットとの違いは?

みなさん、咳エチケットってご存知ですか。咳があったらマスクをしましょう、という、コロナ禍前の言葉です。

この「咳エチケット」という言葉は、2003年のSARSが流行したころから言われ始めたとされています。

以前はこのように咳など症状があり、新型コロナウイルスを疑う症状を持った患者を見つけた場合に感染対策をする、という対応でした。

しかしそれを改めて、医療者は無症状感染者や発症前の患者からの感染リスクを下げるために疑わしい患者全てに標準予防策を徹底することにしました。

そして、ユニバーサルマスキングとは、対応する相手が新型コロナウイルスの可能性があるかないかに関わらず、仕事中や会話をするときは常にお互いにサージカルマスクを着ける、マスクがつけられない、つけていない場合には1m以上の距離を保つなどの対応のことです。

何か医療上の理由があってマスクがつけられない以外は、来院者すべてにマスクを着用したもらうことをほとんどの医療施設が注意喚起しています。

新型コロナウイルスの流行があるまでは恥ずかしながら、私の勤める医療機関でも仕事中にマスクをしないスタッフは少なからずいました。

今となってはあり得ないことですよね。

今やマスクをしていない方が視線が痛いくらいです。

ユニバーサルマスキングと新型コロナウイルスの検査の感度について

みなさんもニュースで知っての通り、PCR検査の感度は50~75%と悪く、PCR陰性は新型コロナウイルスに感染していないという証明にはならないのです。

また、肺炎を確認するためのCT検査の感度も50~80%だそうで、積極的なや新型コロナウイルスのスクリーニングに使うのは推奨されていないんです。

さらには症状が無い人は30~40%にのぼり、発熱する人も全体の4割ほどしかいません

要するに、いろいろな検査で陰性と出たからといっても、症状が無いとしてもあなたが新型コロナウイルス感染症ではないという証明にはならないのです。

しかも、医療機関でうけた抗原検査が陰性でも他の検査所で受けたPCR検査が陽性だったりということはわりと見られます。

いろんな検査があってもそれぞれの感度が低い状態ですから、ユニバーサルマスキングという概念が誕生したのですね。

100%信用できる検査が未だありません。そんななかではユニバーサルマスキングの意識を持って生活をしなければ思ってもみないところで新型コロナウイルスにかかってしまいますし、誰かにうつす危険があります。

しかも、最近話題の後遺症についても退院後60日たったあとの調査では、倦怠感、呼吸困難、頭痛などの慢性疲労症候群に似た症状が若者でも残ることが分かっています。

自分は症状がないから大丈夫、だからマスクをしない、ではない

このユニバーサルマスキングが意味しているのは、症状がみられなければマスクはいらない、という今までのやり方ではいけないということでしょう。

確かに新型コロナウイルスは空気感染ではありませんが、飛沫感染や一部接触感染も見られます。

無症状でも感染力があるので、例えばマスクをせずに会話して飛んだ飛沫がテーブルにつき、気づかないうちに誰かが触り、そして誰かが気づかないうちに感染するというループを断つにはユニバーサルマスキングの概念が大切なのですね。

医療者からみると、感染対策をしている!と思っていても、全然徹底できていない人をあちこちで見かけるのですから…

さらにはユニバーサルマスクの導入で医療従事者の新型コロナウイルス陽性者が減ったとの調査もあります。




濃厚接触者とは?ユニバーサルマスキングの必要性はここにある

「濃厚接触」という単語に関しては今まで聞きなれなかった人にはインパクトのあるネーミングですが、医療者からしたらそんなに珍しい言葉ではないのです。

今回の新型コロナウイルスの濃厚接触者の定義については以下のようになっています。

●新型コロナウイルス確定例(無症状でも病原体を保有している人も含む)と、新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈す2日前から隔離開始までの期間に以下の条件に当てはまる人をいいます。

  1. 確定例と同居している、もしくは車内や飛行機内を含む長時間の接触があった
  2. 適切な感染対策をせずに確定例を診察、看護、介護していた
  3. 確定例の唾液や痰など、その他体液などの汚染物質に直接触れた可能性が高い
  4. 手で触れることができる距離(目安は1m)で感染対策をせず、確定例と15分以上接触した

1~3は、一般市民から見ても濃厚接触だな、と読まなくても分かると思います。

しかし、4の場合はどうでしょう?

4に関してはマスクを外さなくてはならない食事時などを除けばユニバーサルマスキングの概念が守られていれば当てはまることはほぼないので、その観点からもマスクをするという必要性を感じますね。

なぜなら文言に「感染対策をせず」と記載されているのですから。

あくまでも予測ですが、マスクは感染対策の1つですから、マスクをしていればよほどの接触がない限りは濃厚接触者と認定されないのではないでしょうか

みなさんの周りにも、新型コロナウイルスと診断された知人が近くにいたのに濃厚接触者ではないと判断された方いるのではないでしょうか。

これは上記の定義に当てはまらないから、なのでしょう。

さて、新しい標準となるであろうユニバーサルマスキングですが、みなさんはどう感じますか。

最初は本当に必要?と思っていたこともそれが「当たり前」になると日常に溶け込んでいくんですね。

みなさんもユニバーサルマスキングの意識を持ち、他の人にうつさないよう生活を送ってくださいね。

新型コロナウイルスの意外な感染源!実はトイレにもあった!

さて、今までさんざんマスクについて語ってきましたし、マスクをつけることが大切なのは分かりましたよね。

しかし、新型コロナウイルスの意外な感染源はトイレにもあったんです。

みなさんさまざまなニュースでもうご存知かもしれませんが、たくさん研究を進めていくうちに以下のようなことが分かってきました。

一つは、下水からもウイルスが検出されていることから下水を調べると新型コロナウイルスの流行が前もって分かるのではないか、ということです。

そしてもう一つ、プリンセスダイヤモンド号でウイルスが多く検出された場所はトイレだったということです。

さらに、新型コロナウイルスの侵入口である酵素が最も多いのは小腸や大腸なんです。

そのため、腸にウイルス感染が起こると排便時にウイルスが排泄されていくのです。

また、鼻やのどからよりも便からのほうがウイルスが検出される期間が長いことにも注目したいところです。

鼻やのどからは検出される期間が11日程度なのに便からは23日程度と倍以上長いのです。

これらが意味することは、新型コロナウイルスで汚染されたトイレを介して感染する可能性がかなり高いということです。

さらには子どもが新型コロナウイルスに感染したあとのウイルスをどこから排泄するかというと、くしゃみや咳などで飛ぶ飛沫よりも便からのほうが多いそうです。

ですから「トイレ」での感染を防ぐことはマスクをつけて飛沫を飛ばさないということと同じくらい重要なのです。

新型コロナウイルスで自宅療養?!トイレ掃除はどうする?!

さて、感染者が増加して入院施設が足りなくなったら自宅療養となることも増えてきました。

新型コロナウイルスに感染した人が同じ空間にいるとき、手洗い、マスクはもちろんですが、どうやってトイレ掃除をしますか?

また、トイレの水を流す際には便器内からウイルスを含んだしぶきが舞い上がるため、必ず蓋を閉める必要がありますが、ご家庭で徹底していますか?

トイレ掃除の際は、以下のことに気を付けましょう。

●手袋、マスク、ゴーグルを着け、できればビニールのエプロンをつけましょう。使ったあとは全て棄てた方がいいです。

●ドアノブ、スイッチ、レバー、便座はアルコールや界面活性剤を含んだシートを使って拭き取りましょう。便などで便座が汚れていたらまずはトイレットペーパーなどで拭いてからシートを使いましょう。

●掃除のあとやトイレのあとは石鹸で必ず手を洗いましょう。

トイレを流す際は蓋を閉めましょう。蓋が無いときはなるべく便器から顔を離して、流したあとはすぐに1m以上離れましょう。

●洗浄剤は泡ハイターや、サンポールなども活用してください。

これらの掃除ですが、便器内はともかく便座やドアノブ、スイッチなど触れるところはできれば感染者が触ったあとに掃除できればベストです。

なるべく新型コロナウイルスにかからないことが大事ですが、かかってしまって、自宅療養となった際にはトイレ掃除も感染対策をして行うほうがいいということですね。

いかがでしたか。みなさまの無事と、早く終息することを祈ります。

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