標準治療って名前が悪い!?みんなはどんなイメージ?
みなさんの医療者に対する思いってどんなものがありますか?
医療者には当たり前のことでも、一般の人には馴染みのないことはたくさんあるんですよね。
例えば、何か検査や治療などの説明をするときは、誰にでも分かる言葉で話しましょうってちゃんと学生の頃にも習うし医療者になってからは基礎として教えてもらうんですけど、当たり前になってしまうと「それが難しい言葉」なんだと気づかなくなることもありますよね。
今、世の中にはとてもたくさんの治療法が生み出されています。
こうやって記事を読んでいる今も新しい治療、検査、お薬などが開発されています。
科学的に証明された効果のある治療から、本当に効果があるの?と疑問に思ってしまう治療まで。
今回は「標準治療」とはなんぞや?について書きますね。
標準治療とは?
そもそも標準治療とは、科学的な根拠に基づいて、今、選択できる最も良い治療であると示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることがすすめられる治療のこと。
また、世間で広く一般的に行われている治療という意味でも「標準治療」という言葉が使われています。
この標準治療は、確かな研究と科学的根拠に基づいて効果を証明し、かつ、厚生労働省=国が認めた「今、選択できる最も良い治療」であるんです。
確かに、いろんな治療が世の中にはあります。昔からそんな治療あったの?というようなものまで。
しかし、医療では「最先端の治療」が現時点で最も優れているとは限らないことがあるんです。
新しい治療や標準治療ではない治療は、まだ、科学的な根拠で効果が証明されていない、もしくは国が認可をできない「何か」があることが多いのです。
そのため、新しい治療が今の標準治療にとって代わるには、その効果や副作用などを調べる試験でそれまでの標準治療より優れていることが評価、証明されて推奨される必要があるんです。
その課題がクリアできれば新たに「標準治療」となるんですね。
ちょっと勘違い?「標準」の意味
実はこの記事を書こうと思ったきっかけは、友人が「一般市民が手を出さない方がいい治療にいっちゃうのは標準治療って名前が悪いよね」と言ったことからでした。
この友人曰く「標準」という言葉だと、「並の」とか、「平均的な」といった意味にも聞こえてしまうようです。
そのため、もっと良い治療があるのではないかと考えてしまうかたもいるようです。
実際にがん治療をされた人から「標準」って言われたらもっと上の特別な治療があるのかと思ってしまう、と言われたこともあります。
どんな治療を選ぶかは最終的には本人に委ねられています。
医師にすべてお任せしていますから、といった姿勢は、隙を作ることにもなります。
今は説明をきちんとしなければ医療者側に過失が問われるのが当たり前の世の中ですから、臆することなく質問し、自分の納得できる治療を一緒に選択していきましょう!
きちんと正しい意味を知って、納得できる最良の治療を選べたらいいですね。
ちなみにスタッフ同士で「やっぱり標準ってネーミングが悪いよね」って話題になったとき、じゃあ、何だったらいいのか?!と話をすることがあります。
ゴールデンスタンダードとか王道とか、色々な単語が出てきましたが「スタンダード」だと普通感があるなぁ…などなかなか難しいです。
いいネーミングが見つかって「標準」の意味を間違った方向に捉えないようになればいいなぁ。と感じる毎日です。